
映画『デビルズ・バス』(原題:Des Teufels Bad)が、本日5月23日より日本全国で公開された。監督は、2014年の映画『グッドナイト・マミー』で知られるヴェロニカ・フランツとゼヴリン・フィアラのコンビで、実際の18世紀オーストリアの裁判記録をもとに制作された歴史スリラーだ。
本作は第74回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(芸術貢献賞)を受賞し、第57回シッチェス・カタロニア国際映画祭でも最優秀作品賞を獲得するなど、国際的な評価を得ている 。

物語の舞台は18世紀半ばのオーストリア北部。主人公アグネスは、因習の根強い寒村に嫁ぎ、宗教と共同体の厳しいルールに囲まれた生活に苦悩する。村では埋葬されない遺体や異様な儀式が横行し、アグネスはそうした日常のなかで次第に追い詰められていく。現実と幻覚の境目が崩れ、日常は次第に狂気を帯びていく 。

主演はアーニャ・プラシュクが務め、共演にはダーヴィド・シャイト、マリア・ホーフスタッターらが名を連ねている。音楽はオーストリア出身のアーティスト、ソープ&スキンが担当し、重く沈んだ雰囲気を引き立てている。映像美と音楽が不穏な空気をより強調し、歴史背景とともに重厚な空気を作り出している 。

『デビルズ・バス』は、当時の社会における信仰と抑圧の実態を描きながら、ひとつの事件として淡々と展開していく作品だ。現在、全国の劇場で上映中。