
ちょっと不思議で、ちょっと怖い。そんな物語が好きな人にぴったりなのが、ミステリーホラー小説。謎を追いながら、じわじわと恐怖が忍び寄ってくるあの感じ、クセになっている人も多いはず。人の心の闇だったり、昔の事件にまつわる因縁だったり、最後の一行まで気が抜けない展開が待っている。今回は、そんな読みごたえたっぷりのおすすめ10作品を紹介。次に読む1冊がきっと見つかるはず。
ミステリーホラー小説の魅力ってどこ?

ミステリーとホラーが合体したこのジャンル、単なる「怖い話」とは一味違う。謎を追っているうちに、気づけば背筋がぞわっとするような展開が待っている。頭も心もゾクゾクさせてくれるから、ただのホラーじゃ物足りない人にもぴったり。読み終えた後の「あれ、本当に解決したのか…?」って余韻もクセになる。
ミステリーホラー小説総合ランキング10選
今読むならこれ!ホラー好きもミステリー好きも満足できる名作を10本ピックアップ。
1位『黒い家/貴志祐介』

保険会社で働く若槻は、顧客の家で子どもの遺体を目撃する。保険金をめぐるやり取りに違和感を覚え、調査を進めるうちに、関係者の思わぬ一面があらわになっていく。静かに狂気がにじむ展開が続き、日常と非日常の境目が少しずつ崩れていく。第4回日本ホラー小説大賞を受賞した長編小説。
恐怖レベル | ★★★★★ |
著者 | 貴志祐介 |
出版社 | 角川書店 |
発売年 | 1997年 |
ページ数 | 約400頁 |
特徴・テーマ | 保険金殺人、狂気 |
映像化の有無 | 映画化(1999年) |
受賞歴 | 第4回日本ホラー小説大賞 |
2位『残穢/小野不由美』

小説家の「私」は、読者の久保から「部屋で奇妙な音がする」という手紙を受け取る。調査を進めるうちに、過去の住人たちが次々と不審な死を遂げていた事実が明らかになる。怪異の原因を探る過程で、死の「穢れ」が人から人へ、場所から場所へと伝染していくという概念が浮かび上がる。
恐怖レベル | ★★★★☆ |
著者 | 小野不由美 |
出版社 | 新潮文庫 |
発売年 | 2012年 |
ページ数 | 約344頁 |
特徴・テーマ | 連鎖する怪異、実話風 |
映像化の有無 | 映画化(2016年) |
受賞歴 | 第26回山本周五郎賞 |
3位『屍人荘の殺人/今村昌弘』

神紅大学のミステリ愛好会に所属する葉村と明智は、探偵の剣崎比留子とともに、映画研究会の夏合宿に参加するため、山奥のペンション「紫湛荘」を訪れる。合宿初日の夜、肝試しの最中に予期せぬ事態が発生し、彼らはペンションに立てこもることを余儀なくされる。翌朝、密室状態の中で部員の一人が惨殺死体となって発見され、連続殺人事件の幕が上がる。
恐怖レベル | ★★★☆☆ |
著者 | 今村昌弘 |
出版社 | 東京創元社 |
発売年 | 2017年 |
ページ数 | 約318頁 |
特徴・テーマ | クローズドサークル、ゾンビ |
映像化の有無 | 映画化(2019年) |
受賞歴 | 第27回鮎川哲也賞 |
4位『天使の囀り/貴志祐介』

精神科医の北島早苗は、アマゾン調査から帰国後に自殺した恋人の異変を追う。彼が残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉を手がかりに調査を進めると、他の隊員たちも次々と不可解な死を遂げていたことが判明。死の恐怖と快楽が交錯する中、早苗は恐るべき真実に近づいていく。
恐怖レベル | ★★★★☆ |
著者 | 貴志祐介 |
出版社 | 角川書店 |
発売年 | 1998年 |
ページ数 | 約445頁 |
特徴・テーマ | 精神崩壊、感染症 |
映像化の有無 | なし |
受賞歴 | なし |
5位『墓地を見おろす家/小池真理子』

哲平と美沙緒、娘の玉緒の三人家族は、都心にある新築・格安のマンションに引っ越す。しかし、そのマンションは広大な墓地と火葬場、寺に囲まれていた。引っ越し後、飼っていた文鳥の突然死や娘の奇妙な言動、地下室での不可解な出来事など、次々と異変が起こり始める。家族は次第に逃れられない恐怖に巻き込まれていく。
恐怖レベル | ★★★★☆ |
著者 | 小池真理子 |
出版社 | 角川ホラー文庫 |
発売年 | 1988年 |
ページ数 | 約330頁 |
特徴・テーマ | 新築マンション、過去の因縁 |
映像化の有無 | なし |
受賞歴 | なし |
6位『殺人鬼(覚醒篇)/綾辻行人』

大学サークル〈TCメンバーズ〉のメンバーが夏合宿で訪れた双葉山で、突如現れた殺人鬼に次々と襲われる。過去に同じ場所で起きた未解決の殺人事件が語られる中、彼らは極限状態に追い込まれていく。物語は二部構成で進行し、章の構成や描写に巧妙な仕掛けが施されている。
恐怖レベル | ★★★★☆ |
著者 | 綾辻行人 |
出版社 | 角川文庫 |
発売年 | 1992年 |
ページ数 | 約350頁 |
特徴・テーマ | 山荘、連続殺人 |
映像化の有無 | なし |
受賞歴 | なし |
7位『リカ/五十嵐貴久』

42歳のサラリーマン・本間隆雄は、軽い気持ちで始めた出会い系サイトで「リカ」と名乗る女性と知り合う。やがて彼女の異常な執着が明らかになり、日常が崩れていく。リカの行動は次第にエスカレートし、彼の家族や周囲の人々にも影響を及ぼす。第2回ホラーサスペンス大賞を受賞した作品。
恐怖レベル | ★★★★☆ |
著者 | 五十嵐貴久 |
出版社 | 幻冬舎文庫 |
発売年 | 2002年 |
ページ数 | 約300頁 |
特徴・テーマ | ストーカー、狂気 |
映像化の有無 | 映画化(2003年) |
受賞歴 | 第2回ホラーサスペンス大賞 |
8位『彼女はそこにいる/織守きょうや』

母と妹とともに引っ越した少女が、新居で奇妙な現象に遭遇する。別の視点からは、不動産仲介業者がその家の過去を調査する様子が描かれ、さらに第三の視点で全体の出来事がつながっていく。一軒家を舞台に、複数の視点で進行する三部構成のミステリーホラー。
恐怖レベル | ★★★★☆ |
著者 | 織守きょうや |
出版社 | 角川書店 |
発売年 | 2019年 |
ページ数 | 約300頁 |
特徴・テーマ | 一軒家、視点切替 |
映像化の有無 | なし |
受賞歴 | なし |
9位『監禁依存症/櫛木理宇』

悪名高い弁護士・小諸成太郎の9歳の息子が誘拐される。警察は、彼が過去に弁護した性犯罪者の被害者家族を訪ね、事件の背景を探る。誘拐の動機や犯人の正体が明らかになるにつれ、物語は予想外の展開を見せる。本作は、櫛木理宇による「依存症シリーズ」の第3作
恐怖レベル | ★★★★☆ |
著者 | 櫛木理宇 |
出版社 | 幻冬舎文庫 |
発売年 | 2014年 |
ページ数 | 約350頁 |
特徴・テーマ | 誘拐、家族の闇 |
映像化の有無 | なし |
受賞歴 | なし |
10位『medium 霊媒探偵城塚翡翠/相沢沙呼』

推理作家の香月史郎は、霊媒師・城塚翡翠と出会い、彼女の霊視能力と自身の論理的思考を組み合わせて事件の真相に迫る。証拠を残さない連続殺人事件に挑む中、翡翠の能力が唯一の手がかりとなる。物語は複数のエピソードで構成され、各話の間に挿入されるインタールードが全体の謎を深めていく。第20回本格ミステリ大賞受賞作品。
恐怖レベル | ★★★☆☆ |
著者 | 相沢沙呼 |
出版社 | 講談社 |
発売年 | 2019年 |
ページ数 | 約400頁 |
特徴・テーマ | 霊媒師、連続殺人 |
映像化の有無 | なし |
受賞歴 | 第20回本格ミステリ大賞 |
無料で読めるミステリーホラー小説3選
「気になるけど試しに読みたい」「空いた時間に少しだけ怖くなりたい」──そんなときは、Webで無料公開されているミステリーホラー小説がおすすめ。短めでも内容は本格的で、読みごたえも十分。ここでは、気軽に読める無料作品をご紹介。
『無職マンのゾンビサバイバル生活。/秋津モトノブ』

30代無職の田中野一朗太は、家族が海外旅行中に突如ゾンビだらけとなった町で一人取り残される。特別な使命感もなく、煙草と食料を求めて淡々と生き延びる日々を送る。古流剣術の使い手である彼は、ゾンビや敵対する生存者と対峙しながら、マイペースにサバイバルを続けていく。本作はカクヨムコン9ホラー部門特別賞を受賞し、書籍化も決定している。
恐怖レベル | ★★★☆☆ |
著者 | 秋津モトノブ |
出版社 | ― |
発売年 | 2023年 |
ページ数 | 約300頁 |
特徴・テーマ | 無職、サバイバル |
映像化の有無 | なし |
受賞歴 | カクヨムコン9ホラー部門特別賞 |
『コンビニで夜勤バイトを始めまして。/天野アタル』

25歳のフリーター・袴田は、時給1300円に惹かれ、樹海近くのコンビニで夜勤バイトを始める。初日から自動ドアの異常な開閉など不可解な現象に遭遇し、同僚の個性的な店員たちと共に、店に潜む謎に立ち向かう。過去の出来事と向き合いながら、彼は次第に変化していく。
恐怖レベル | ★★★★☆ |
著者 | 天野アタル |
出版社 | KADOKAWA |
発売年 | 2018年 |
ページ数 | 約336頁 |
特徴・テーマ | コンビニ、心霊現象 |
映像化の有無 | なし |
受賞歴 | なし |
『領怪神犯/木古おうみ』

理解を超えた神々による異常現象「領怪神犯(りょうかいしんぱん)」。その調査に挑む役所内の秘密組織の片岸は、各地で神と信仰の狂気に向き合う中、やがて人知を超えた恐怖の核心に迫っていく――第7回カクヨムWeb小説コンテスト〈ホラー部門〉大賞受賞作。
恐怖レベル | ★★★★☆ |
著者 | 木古おうみ |
出版社 | 角川文庫 |
発売年 | 2022年 |
ページ数 | 約288頁 |
特徴・テーマ | 神々、超常現象 |
映像化の有無 | なし |
受賞歴 | 第7回カクヨムWeb小説コンテスト〈ホラー部門〉大賞 |
おすすめの一冊を探してみよう
ミステリーとホラーが合わさることで生まれる、じわじわとした怖さと先が気になる展開。今回紹介した作品は、どれもその魅力がしっかり詰まっている。人の心の闇や、説明のつかない怪異、ラストに待ち受ける驚きまで、作品ごとに違った面白さがある。どこから読んでも楽しめるので、自分の気分や好みに合った一冊を見つけてほしい。