
2025年、ホラー映画界は身体に潜む恐怖を前面に押し出す「ボディ・ホラー」作品が相次いで登場し、注目を集めている。先駆けとなった2024年の『サブスタンス』に続き、本年も肉体性と変貌を軸に据えた作品が続々と公開される見通しだ。本稿では2025年公開予定のボディ・ホラー注目作をご紹介。
2025年公開予定の『ボディ・ホラー』映画4選!
『サブスタンス』(公開中)

コラリー・ファルジャ監督の2024年制作ボディ・ホラーで、主演デミ・ムーアが老いと美をめぐる自己崩壊を過激に描写。再生医療薬で若返った自身の“クローン”との共存が狂気を招き、カンヌ脚本賞受賞など高評価を獲得。映像は背骨裂開など衝撃的表現が連続し、“食と身体”を主題にしたシニカルな社会批判が観客に強烈な印象を残した。新宿ピカデリーはじめ全国劇場で公開中。

『呪儀 BODY PARTS』(6月27日公開)

韓国発、儀式と供物に身体パーツを用いる異端ホラー。新米記者が宗教団体に潜入取材し、耳や舌など6つの供物が合わさる「儀式の核心」に間近で触れる衝撃体験をする。富川国際ファンタスティック映画祭で作品賞受賞、2025年6月27日より日本でも公開予定。ティザーでは「みんな死んで、一つになった」との不穏なコピーが観客の好奇心を刺激。

『顔を捨てた男』(7月11日公開)

A24配給、セバスチャン・スタン主演。顔面に変形を抱える俳優志望エドワードが実験的な整形治療で別人の顔を得るも、過去の自己と瓜二つの俳優と出会い、アイデンティティと外見至上主義が交錯する狂気に囚われる。実験的なメイク技術と社会的寓意を兼ね備え、2024〜25年にかけて各国映画祭で評価された注目作。
『NEW RELIGION(ニューレリジョン)』(7月18日公開)

瀬戸かほ主演、日本製SF心理ホラー。事故で娘を喪った母・雅が、客の写真を通じ“背骨”など身体部の撮影を依頼されるたび、娘の霊が近づく怪現象に直面。記憶と喪失、社会の崩壊を提示する構造的恐怖を、極彩色の映像と重厚な音響で描出。2025年7月18日より全国公開予定。