【2025年最新】ホラー小説おすすめ37選。日本ホラー小説大賞受賞作品や話題の“モキュメンタリー系”など

ゾッとする物語を求めるなら、ホラー小説は外せない。本記事では、2025年時点で注目の最新作から名作まで、今読むべきホラー小説を37冊厳選して紹介。日本ホラー小説大賞の受賞作や、SNS発の“モキュメンタリー系”など、バリエーションも豊富。短編集から長編、映画化された話題作まで網羅しているので、初心者からホラーマニアまで、きっと“最恐の一冊”に出会えるはずだ。

目次

映像作品にはない、ホラー小説の魅力

ホラー小説は、映像作品とは違って「想像の余白」があるのが面白いところ。怖いシーンを目で見るのではなく、自分の頭で描くから、じわじわ怖くなってくる。音も映像もないはずなのに、気づいたら心拍数が上がってる、そんな感覚がクセになる。

しかも、書き手の言葉選びや構成で恐怖の質がガラッと変わるので、同じ怪談でも作家ごとに全然違う味わいがある。読み終わった後に「これ、夢に出そう…」と思うタイプの怖さ。それが小説ならではの醍醐味だ。

【2025年7月更新】おすすめホラー小説ランキング37選

2025年7月時点で注目を集めている最新ホラー小説を厳選して紹介。話題作や受賞作、映像化された人気作まで、今読むべき“本当に怖い”一冊がきっと見つかる。

1位『ポルターガイストの囚人』(上條一輝)

ポルターガイストの囚人
ジャンル超常現象ホラー
著者上條一輝
出版社東京創元社
出版年月2025年6月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

「あしや超常現象調査」の芦屋晴子と越野草太は、古びた一軒家に住む人物から、原因不明のポルターガイスト現象に関する調査を依頼される。二人は世界各地で報告されてきた類似の現象を分析し、そこから一定のパターンを見出して独自の対処法を編み出す。調査は順調に進み、現象も鎮まりを見せたかに思えたが、依頼人が突如姿を消す。それをきっかけに、晴子と越野の身の回りでも不可解な出来事が次々と起こり始め――。

2位『近畿地方のある場所について』(背筋)

近畿地方のある場所について
ジャンルモキュメンタリー
著者背筋
出版社KADOKAWA
出版年月2023年8月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化映画化(2025年8月8日公開)

近畿地方に散らばる怪異を追うライター・背筋と友人編集者・小沢。彼らはオカルト雑誌やネット情報を手がかりに「ある場所」へ迫るが、小沢が現地調査中に忽然と失踪。雑誌記事や掲示板、手紙など多様な媒体を繋ぎ、背筋は真相と呪いの痕跡を炙り出すが、最後には誰も知らぬ恐怖が読者自身に迫る──モキュメンタリースタイルで描かれる体験型ホラー。

3位『禍』(小田雅久仁)

禍
ジャンルホラー短編集
著者小田雅久仁
出版社新潮社
出版年月2023年7月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

小田雅久仁『禍』は、全7編からなる身体をテーマにした異形ホラー短編集。冒頭「食書」では本を食べることでその内容を体験し狂気に堕ちる作家、「耳もぐり」では他人の耳を介し人格を乗っ取る謎の技に取り憑かれる男など、身体感覚を侵食される恐怖が連鎖。宗教的儀式の狂気や裸にまつわる伝染病など、日常が異常に転じる圧倒的な想像力とグロテスクな描写で、読者の感覚そのものを侵す衝撃作集。

4位『をんごく』(北沢陶)

をんごく
ジャンルミステリーホラー
著者北沢陶
出版社KADOKAWA
出版年月2023年11月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

大正末期の大阪・船場。画家の壮一郎は、最愛の妻・倭子の死を受け入れられず、巫女に降霊を依頼する。しかし霊は呼べず、「奥さんは普通の霊ではない」と警告される。その後、倭子の霊は姿を現すが、声や気配はどこか異常だった。真相を探る中で、壮一郎は「エリマキ」と名乗る存在と出会う。エリマキは自分を死者を喰らう霊だと語り、倭子を狙うが何者かに阻まれる。やがて壮一郎は、妻の死にまつわる忌まわしい真実にたどり着く。

5位『深泥丘奇談』(綾辻行人)

深泥丘奇談
ジャンルホラー短編集
著者綾辻行人
出版社角川文庫
出版年月2008年2月
巻数全3巻
試し読みあり
映像化なし

現実とは異なるもう一つの京都に暮らすミステリー作家が、次々と奇怪な出来事に巻き込まれていく。濃霧に包まれた夜の道、祭りでにぎわう神社、真夜中のホテルのプール。衝撃と記憶の喪失を重ねながら、物語はやがて、世界の終わりへと突き進んでいく。

6位『食べると死ぬ花』(芦花公園)

食べると死ぬ花
ジャンルホラー短編集
著者芦花公園
出版社新潮社
出版年月2023年11月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

最愛の息子を亡くした桜子に、カウンセラーの久根が差し出したのは、一つの壺だった。「三つの約束を守れば、息子に再び会える」と告げられるが、その先には想像を超えた結末が待っていた――。「最悪すぎて最高」「読後感が最悪、でも忘れられない」と評され、連載当初から大きな反響を呼んだ本作。ネットを震撼させた新鋭ホラー作家が描く、血と喪失が織りなす恐ろしくも美しい地獄絵図。

7位『変な家2 ~11の間取り図~』(雨穴)

変な家2 ~11の間取り図~
ジャンルモキュメンタリー
著者雨穴
出版社飛鳥新社
出版年月2023年12月
巻数全2巻
試し読みあり
映像化映画化(2024年3月15日公開)

前作の反響を受け、筆者のもとに全国から集まった奇妙な11の間取り図。行き止まりの廊下、水車小屋、逃げられないアパートなど、それぞれの家には不可解な構造と過去の事件が隠されていた。ライターの雨穴と設計士・栗原は、各家の間取りを手がかりに調査を進めるが、やがてすべての物件が一本の線でつながっていたことが明らかになる。日常に潜む狂気を暴き出す、戦慄の間取りミステリー第2弾。

8位『私の家では何も起こらない』(恩田陸)

私の家では何も起こらない
ジャンル幽霊ホラー
著者恩田陸
出版社角川文庫
出版年月2016年11月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

丘の上にひっそりと佇む古びた二階建ての家。そこに惹きつけられた人々の記憶が、不穏なエピソードを次々と浮かび上がらせる。キッチンで争い、命を奪い合った姉妹。無垢な少女のそばで命を絶った殺人鬼の少年。そして、すべてを覆す衝撃の結末が待ち受ける。

9位『私はフーイー 沖縄怪談短篇集』(恒川光太郎)

私はフーイー 沖縄怪談短篇集
ジャンルホラー短編集
著者恒川光太郎
出版社メディアファクトリー
出版年月2012年11月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

ヨマブリの声と胡弓の音が響く島で、願いを叶える魔物が潜む洞窟、林の奥にひっそり佇む小さなパーラー、深夜に現れる幽霊列車、祭りの夜に語られる不気味な予言が交錯する。何度も生まれ変わる少女フーイーの目を通して描かれる、島の過去と避けられぬ運命とは――。

10位『深淵のテレパス』(上條一輝)

深淵のテレパス
ジャンル超常現象ホラー
著者上條一輝
出版社東京創元社
出版年月2024年8月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

「変わった怪談を聞きに行きませんか?」――会社の部下に誘われて参加した大学のオカルト研究会のイベントで、カレンは不気味な怪談を耳にする。その日を境に、暗闇からの湿った音、悪臭を放つ気配、足跡型の汚れなど、日常に異様な現象が現れはじめる。まるであの怪談をなぞるかのように状況が悪化していくなか、彼女は「あしや超常現象調査」の二人に助けを求めることに。創元ホラー長編賞を受賞した、注目の怪異小説。

11位『入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください』(寝舟はやせ)

入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください
ジャンル幽霊ホラー
著者寝舟はやせ
出版社KADOKAWA
出版年月2024年10月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

母親のせいで家もお金も失ったタカヒロは、住み込みでマンションの一室を管理する仕事を見つける。唯一の条件は「隣人と仲良くすること」。行き場のない彼はその部屋に身を寄せるが、隣にいたのはどう見ても人ではない存在だった。「友達から聞いた話なんだけど」と語られる怪談に耳を傾けるうち、作り話と思われた内容が、次第に彼の現実と重なり始める。すでに23人が逃げ出したという部屋で、タカヒロは恐怖と隣り合わせの日々を送ることになる。

12位『リカ』(五十嵐貴久)

リカ
ジャンルサスペンスホラー
著者五十嵐貴久
出版社幻冬舎文庫
出版年月2002年2月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化ドラマ化・映画化

42歳の平凡なサラリーマン・本間は、妻と子を大切にしながらも軽い気持ちで始めた出会い系サイトで、「リカ」と名乗る女性と知り合う。しかし彼女は、想像を絶する存在だった。長い黒髪を振り乱し、異常な執着心で本間の生活を追い詰めていくリカ。本間は次第に逃げ場を失い、ついには狂気の渦と向き合う決意を固める――。未刊行だった衝撃のエピローグを収録した完全版。第2回ホラーサスペンス大賞受賞作。

13位『禁じられた楽園』(恩田陸)

禁じられた楽園
ジャンル幻想ホラー
著者恩田陸
出版社徳間文庫
出版年月2004年4月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

大学生の平口捷は、同級生であり世界的な天才美術家・烏山響一から招かれる。舞台は、熊野の壮大な自然に造られた巨大な野外美術館。その地で彼を待ち受けていたのは、現実と幻想が入り混じる恐ろしい体験だった。現代の語り手が描き出す、圧巻の幻想ホラー長編。

14位『でぃすぺる』(今村昌弘)

でぃすぺる
ジャンルミステリーホラー
著者今村昌弘
出版社文藝春秋
出版年月‎2023年9月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化映画化(2019年公開)

『屍人荘の殺人』の著者が放つ、ジュブナイル×オカルト×本格ミステリの長編。小学6年の夏休みが終わり、ユースケはオカルト好きの熱意を壁新聞にぶつけるべく“掲示係”に立候補する。だが意外にも、優等生のサツキも同じ係を志願していた。彼女の狙いは、一年前の奥神祭り前夜に亡くなった従姉・マリ姉の死の真相。遺品のPCに残された『奥郷町の七不思議』のファイルを手がかりに、二人ともう一人の掲示係・ミナが謎に挑む。

15位『残穢』(小野不由美)

残穢
ジャンル超常現象ホラー
著者小野不由美
出版社新潮文庫
出版年月2012年7月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化映画化(2016年公開)

引っ越した先の部屋で、畳を擦る音や赤ん坊の泣き声が聞こえ始めた。誰もいないはずの空間に漂う気配に違和感を覚えた主人公は、この部屋にまつわる過去を探り始める。やがて明らかになるのは、かつてこの場所で起きた悲惨な最期と、それに伴う怨念だった。死の「穢れ」が連鎖する恐怖を描いた、山本周五郎賞受賞のドキュメンタリー・ホラー長編。

16位『さかさ星』(貴志祐介)

さかさ星
ジャンル超常現象ホラー
著者貴志祐介
出版社KADOKAWA
出版年月2024年10月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

戦国時代から続く旧家・福森家で起きた一家惨殺事件。遺体は異様な方法で破壊され、屋敷には儀式の痕跡が残されていた。親族の中村亮太は霊能者・賀茂禮子とともに屋敷を訪れ、調査を開始する。賀茂は、福森家が所蔵していた名品の中に呪物があり、それが事件の元凶だと語る。半信半疑だった亮太も、やがて怪異を目撃し恐怖を実感する。さらに、生き残った子供たちにも呪いの気配が忍び寄る――長き因縁に迫る本格ホラー長編。

17位『天使の囀り』(貴志祐介)

天使の囀り
ジャンルサイコホラー/怪奇ホラー
著者貴志祐介
出版社角川書店
出版年月2000年12月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

アマゾンの奥地を探検したメンバーたちが、帰国後に次々と常軌を逸した方法で命を絶っていく。彼らの身に一体何が起こったのか。じわじわと忍び寄る死の気配と抗いがたい快楽の影。その深い闇の中から、“天使”が姿を現そうとしている。

18位『闇祓』(辻村深月)

闇祓
ジャンル本格ホラーミステリ
著者辻村深月
出版社KADOKAWA
出版年月2024年6月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

転校生の白石要は、どこか掴みどころのない青年だった。無表情で髪も乱れた彼に、優等生の澪は気を遣って話しかけるが、返ってきた言葉は「今日、家に行っていい?」。その異常な一言をきっかけに、澪は要に対する不安を募らせていく。助けを求めた先輩・神原と共に調べるうちに、周囲で起きる人間関係の崩壊や死が「闇ハラスメント」という存在に結びついていく。辻村深月が描く、現代社会に潜む恐怖を暴く長編ホラーミステリー。

19位『骨を喰む真珠』(北沢陶)

骨を喰む真珠
ジャンルミステリホラー
著者北沢陶
出版社KADOKAWA
出版年月2025年1月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

大正十四年の大阪。病弱ながら気の強い女性記者・苑子のもとに、一通の不気味な投書が届く。大手製薬会社・丹邨製薬の跡取り息子からで、苑子は疑念を抱き、身分を偽って丹邨家に潜入する。屋敷内では、咳を即座に止める謎の丸薬や、家族の不自然な言動が彼女を迎える。不審に思った苑子は丸薬の成分分析を依頼するが、結果には「骨」が含まれていた。逃げ場を失った苑子を待つのは、想像を超えた地獄だった。

20位『斬首の森』(澤村伊智)

斬首の森
ジャンルサバイバルホラー
著者澤村伊智
出版社光文社
出版年月2024年4月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

薄暗い森の奥にひっそりと佇む合宿所。ある団体の“レクチャー”を受けていた私は、次第に意識が支配されつつあったが、火災をきっかけに脱出を図る。男女五人で町を目指して逃げ出すものの、深い森で道に迷ってしまう。そして翌朝、仲間のひとりが無残に首を切断された状態で発見される。その頭部は、奇妙な装飾を施された古木の根元に、まるで捧げもののように置かれていた――逃げ場のない恐怖が加速する、衝撃のホラーミステリー。

21位『殺人鬼』(綾辻行人)

殺人鬼
ジャンルスプラッタ・ホラー
著者綾辻行人
出版社角川文庫
出版年月1990年1月
巻数全2巻(覚醒篇+逆襲篇)
試し読みあり
映像化なし

1990年代の夏、双葉山に集まった〈TCメンバーズ〉の仲間たちは、突如現れた殺人鬼によって次々と命を奪われていく。終わりの見えない惨劇の中で繰り広げられる恐怖の連鎖。その背後には、誰も予想しなかった驚きの仕掛けが隠されていた。

22位『シャイニング』(スティーヴン・キング)

シャイニング
ジャンル超常現象ホラー/心理サイコスリラー
著者スティーヴン・キング
出版社文春文庫
出版年月1978年3月
巻数全2巻(上・下)
試し読みあり
映像化あり(映画化:1980年、テレビミニシリーズ:1997年、その他)

予知能力を持つ5歳の少年とその両親が滞在する雪山のホテルで、次々と異変が起こりはじめる。浴槽や廊下、鏡の中に忍び寄るおぞましい気配。響き渡る怪音、REDRUMと浮かび上がる青い炎、ぶるぶる・がちゃんと動き出すエレベーター。そして、死者が告げるパーティーの開始とともに、逃れられない惨劇が幕を開ける。世界最恐のホラー小説と称されるにふさわしい一冊。

23位『屍鬼』(小野不由美)

屍鬼
ジャンル超常現象ホラー/吸血鬼もの
著者小野不由美
出版社新潮文庫
出版年月2002年2月
巻数単行本全2巻、文庫版全5巻
試し読みあり
映像化あり(アニメ化:2010年)

人口わずか1300人、三方を山に囲まれた外場村は、いまも古い風習が色濃く残る閉ざされた集落。ある猛暑の夏、村の静寂を破るように、山中で腐敗した3体の遺体が見つかる。まわりには肉片が散らばり、まるで獣が荒らしたような惨状だった。その直後、夜中にひっそりと移り住んできた正体不明の家族が、不審死の連鎖とどのように関係しているのか。殺人か、それとも未知の病か。闇が村を静かに侵し始める。

24位『右園死児報告』(真島文吉)

右園死児報告
ジャンル報告書風スプラッタSFホラー
著者真島文吉
出版社KADOKAWA
出版年月2024年9月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

『右園死児報告』は、明治25年に始まった非公式の調査体系を題材にした物語。政府、軍、警察、探偵、そして一般人が関与し、正体不明の存在「右園死児」にまつわる異常現象の解明と対策に取り組む。右園死児という名前を持つ人間や動物、物体が原因となり、常識を逸した事態が発生していく。報告書は無機質な文体でまとめられており、記録が進むにつれて、世界が「右園死児」に侵されていく過程が浮かび上がっていく。

25位『火のないところに煙は』(芦沢 央)

火のないところに煙は
ジャンル連作怪談ミステリ/ホラー
著者芦沢央
出版社新潮社
出版年月2018年6月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

「神楽坂を舞台に怪談を書いてほしい」。突然の依頼に、作家の脳裏には封じ込めていた過去がよみがえる。解明されない謎、救えなかった友人、そして現場から目を背けた自分。作家はその事件を小説にすることで決着をつけようとするが、物語は思わぬ方向へと進み始める。予測不能の展開と連続する衝撃、最後に待ち受ける恐るべき真実。読み出したら止まらない、背筋が凍る暗黒ミステリー。

26位『血の季節』(小泉喜美子)

血の季節
ジャンルミステリホラー
著者小泉喜美子
出版社宝島社文庫
出版年月2016年8月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

青山墓地で起きた幼女殺害事件。その容疑者は、収監された独房で不可解な独白を始める。語られる物語は、40年前の東京へとさかのぼる。戦前の公使館で出会った金髪碧眼の兄妹との異国めいた交流。戦時下を生きた青年期に芽生える狂気と妖しさ。そして、長い回想の果てに浮かび上がる事件とのつながり。ミステリーとホラーが重なり合いながら、物語は次第に現実の輪郭を変えていく。

27位『隣の家の少女』(ジャック・ケッチャム)

隣の家の少女
ジャンルミステリホラー
著者ジャック・ケッチャム(訳:金子浩)
出版社扶桑社ミステリー
出版年月1998年7月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

1958年の夏、12歳だった私は、隣に引っ越してきた少女メグと出会い、その美しさに一目で心を奪われた。ときめく気持ちを抱いていたある日、彼女と妹が暴力を受けている場面を目撃し、言葉を失う。だが、私は何もせず立ち尽くすことしかできなかった。ルースによる虐待は次第にエスカレートし、ついにはメグは地下室に閉じ込められ、さらに過酷で非道な仕打ちを受けることに――。スティーヴン・キングが称賛した、戦慄の傑作。

28位『夜市』(恒川光太郎)

夜市
ジャンル超常現象ホラー
著者恒川光太郎
出版社KADOKAWA
出版年月2008年5月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

あらゆるものが並ぶ奇妙な市場「夜市」。幼い頃、祐司はそこで迷子になり、弟を差し出す代わりに「野球の才能」を手に入れた。それ以来、野球部のエースとして活躍する一方で、祐司の心にはいつも消えない罪の意識が付きまとっていた。

29位『夜は一緒に散歩しよ』(黒史郎)

夜は一緒に散歩しよ
ジャンル怪談ホラー
著者黒史郎
出版社KADOKAWA
出版年月2009年8月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

作家・横田卓郎は妻を亡くし、娘の千秋と静かに暮らしていた。だが妻の死後、千秋は不可解な絵を描くようになっていく。そこに描かれていたのは、人とは異なる奇怪な存在だった。やがて彼女は「青い顔の女」ばかりを描くようになり、その絵を「ママ」と呼びながら筆を止めようとしない。そしてもうひとつ、千秋が強くこだわるものがあった。それは、夜の街を歩き回ることだった――。第1回『幽』怪談文学賞大賞受賞作。京極夏彦による解説付き。

30位『Another』(綾辻行人)

Another
ジャンルミステリホラー
著者綾辻行人
出版社角川書店
出版年月2009年10月
巻数全2巻(上・下)
試し読みあり
映像化TVアニメ(2012年1月)、実写映画(2012年8月4日公開)

夜見山北中に転校してきた榊原恒一は、教室に漂うどこか異様な空気に戸惑いを覚える。目を引く存在であるミサキ・メイに興味を持ち、接点を持とうとするが、状況はますます不可解に。やがて、クラス委員長の桜木ゆかりが惨たらしい死を遂げ、恐怖が現実のものとなっていく。

31位『よもつひらさか』(今邑彩)

よもつひらさか
ジャンルホラー短編集/怪奇ホラー
著者今邑彩
出版社集英社文庫
出版年月2018年
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

現世から冥界へと通じる道を、古事記では「黄泉比良坂」と呼ぶ――。ゆるやかな坂道を歩いていた私に、登山姿の青年が話しかけてきた。めまいに襲われた私は、彼が差し出したぬるい水をそのまま飲み干してしまう。この坂を一人で歩くと、死者と出会うことがあるという不気味な言い伝えが残されている。そんな怪異を描いた表題作をはじめ、繊細な筆致で異界の恐怖を描いた全12編を収録した戦慄のホラー短編集。

32位『黒い家』(貴志祐介)

黒い家
ジャンルサイコホラー/家庭崩壊ホラー
著者貴志祐介
出版社角川ホラー文庫
出版年月1998年12月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化映画化(2007年公開)

保険会社に勤める若槻は、顧客の家を訪れた際に子どもの首を吊った遺体を目にしてしまう。不可解な様子を見せる顧客に疑念を抱き、若槻は独自に調べ始めるが、それが恐ろしい出来事の幕開けだった。第4回日本ホラー小説大賞受賞作。

33位『MORSE』(ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト)

MORSE
ジャンルゴシックホラー/スリラー
著者ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト
出版社早川書房
出版年月2009年12月
巻数全2巻(上・下)
試し読みあり
映像化映画化(スウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』2008年)

1980年代のストックホルム郊外に暮らす少年オスカルは、学校でひどいいじめを受け、家庭にも頼れず孤独な日々を過ごしていた。密かな楽しみは望遠鏡で近所の様子をのぞき見し、復讐を夢見ること。ある日、隣に引っ越してきた少女エリと出会うが、最初は距離を置かれてしまう。やがて心を通わせ始めた二人。しかし町では次々と惨殺事件や失踪が起こり始める。実はエリはヴァンパイアで、生きるために人の血を必要としていたのだった。

34位『異端の祝祭』(芦花公園)

異端の祝祭
ジャンルカルト民俗ホラー/ミステリ
著者芦花公園
出版社角川ホラー文庫
出版年月2021年5月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

就職に失敗し続ける浪人生・島本笑美には、人と異形の存在を見分けられないという特異な体質があった。そのせいで、街中の“何か”に常に付きまとわれている。ある日、大手食品会社モリヤ食品の面接で出会った青年社長ヤンに突然好意を寄せられ、笑美はそのまま入社を決める。だが「研修」と称して連れて行かれた先には、奇声を発しながら這う人々の姿が。心配した兄・陽太は霊を扱う事務所に助けを求めるが――。SNSで話題沸騰の民俗ホラー。

35位『鬱屈精神科医、怪物人間とひきこもる』(春日武彦)

鬱屈精神科医、怪物人間とひきこもる
ジャンルエッセイ/映画怪物論
著者春日武彦
出版社キネマ旬報社
出版年月2021年5月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦氏が推薦する本書は、映画史に登場する異形の存在――ハエ男、透明人間、武器人間など“怪物人間”たちをめぐる精神科医・春日武彦との果てしない対話。社会から距離を置いた春日が、怪物たちとの交流を通じて探るのは、人間存在そのものの不気味さ。本書は役に立つことを一切拒否し、人生に寄与しない。だがその不毛さこそが魅力であり、人間と怪物のあいだにある深い共鳴が、読者を静かに揺さぶる。

36位『ぼっけえ、きょうてえ』(岩井志麻子)

ぼっけえ、きょうてえ
ジャンルホラー短編集/スプラッタホラー
著者岩井志麻子
出版社角川ホラー文庫
出版年月2001年
巻数全1巻
試し読みあり
映像化なし

岡山の遊郭で、容姿に恵まれない女郎がある夜、客に自らの過去を語り出す。母は間引きを専門とする産婆であり、彼女も幼い頃から赤子の命を絶つ手伝いをして育った。その生い立ちは、血と穢れに染まった救いのない道のりだった。

37位『×ゲーム』(山田悠介)

×ゲーム
ジャンルサイコスリラーホラー/若者サスペンス
著者山田悠介
出版社幻冬舎文庫
出版年月2007年7月
巻数全1巻
試し読みあり
映像化映画化(2008年、主演:柏原崇ほか)

小学校の同窓会に参加したことをきっかけに、英明のまわりで不可解な惨劇が立て続けに起こり始める。翌日、当時の担任教師が惨殺され、さらには同級生のひとりが突然失踪。そして英明のもとに届けられたのは、1本の古びた8ミリテープだった。そこに記録されていたのは、目を覆いたくなるような衝撃的な映像。連続する事件の裏には、英明たちが過去に関わっていた、いじめ行為――通称「×ゲーム」の存在が浮かび上がってくる。

“最恐の一冊”を見つけるならこの選び方

「怖そうだけど、どれを選べばいいか分からない」――そんな人こそ、まずは選び方から知っておきたい。ジャンルやボリューム感など、自分に合う“最恐の一冊”を見つけるためのヒントを紹介。

ホラーのジャンルで選ぶ

ホラー小説にもいろんなタイプがある。幽霊が出てくる定番の怪談から、内面の怖さに迫るサイコ系、グロ描写全開のスプラッター系、そして最近人気の“モキュメンタリー”系まで。その中でも、自分が「どんな怖さが好きか」で選ぶと失敗しにくい。

ジワジワ系が好きなら怪談。リアルでゾクッとしたいならモキュメンタリー。血とか痛みもOKならスプラッター系がおすすめ。怖がりすぎる人は、ファンタジー寄りのやさしめホラーから入ってみてもいい。

短編 or 長編で選ぶ

ホラーを読む時間がなかなか取れない人には短編がおすすめ。短くてもインパクト抜群の話が多くて、すき間時間でも読めるのが嬉しい。逆にじっくり怖がりたいなら長編が向いてる。登場人物の背景や伏線がじわじわ効いてくるので、読み終えた後の満足感も大きい。

ホラー小説に初めてチャレンジするなら、まずは短編集から入って、自分に合いそうな作家を見つけてみるのもアリ。慣れてきたら長編でどっぷり浸かると、より深い恐怖が味わえる。

映画化作品にも注目

どのホラー小説を読もうか迷ったら、映画化された作品から選ぶのもひとつの手。『黒い家』や『残穢』のように、映画で有名になった原作は意外と読みごたえがあり、細かい描写や裏設定が書かれていて「なるほど、こういうことだったのか!」って発見もある。

映画を先に観てから読むと安心感もあり、逆に原作を読んでから映画を観ると違いを楽しめる。映像だけじゃ分からなかった登場人物の心理などが、文章ではっきり伝わるのも面白い。

試し読みがあると失敗しにくい

ホラー小説は、作家のクセや文体でかなり好みが分かれる。そのため、できれば買う前に試し読みしてみるのがおすすめ。出だしの数ページで「この雰囲気好きかも」と感じられると、最後まで読みやすい。

特にネット書店や電子書籍なら、無料で1章分読めることも多いので要チェック。話題作でも、自分に合わないテンポや言葉づかいだと途中で挫折することもあるため、「読みやすさ」を基準にするのは意外と大事なポイントだ。

今後発売の注目作品をピックアップ

今後発売予定の注目ホラー小説をピックアップ。期待の新鋭作家や映像化決定作品、既に話題の“モキュメンタリー系”など、読み逃せないラインナップを一気にチェックしよう。

7月25日発売『蜘蛛の牢より落つるもの』(原浩)

21年前、長野県で発生した謎の集団生き埋め事件。証言によると、被害者たちは自ら掘った穴に順番に入り、生き埋めにされたという。そしてその行為を導いたのは、正体不明の女だった。真相を探るため、フリーライターの指谷が取材を開始。やがて浮かび上がるのは、その女が古くから語り継がれる比丘尼の怨霊ではないかという疑念。関係者に次々と不審な死が迫る中、指谷は大学時代の後輩・北斗総一郎とともに事件の真相に迫っていく。これは呪いか、それとも計画された殺人なのか。

8月25日発売『ライナーゲーム』(最東対地)

感情の波が乏しく、「普通」に憧れるメロは、妹の結婚資金を稼ぐため、1億円を懸けたゲームに参加する。失うものは何もない。だが、参加者全員が集められた直後、催眠ガスで意識を奪われる。目覚めた彼女は緑のジャージ姿で、知らない田舎の駅に立っていた。支給されたのは携帯端末ひとつ。そこにチャージされたポイントを使って電車で目的地を目指すという、単純に見えるルール。しかし進むにつれ、心理戦と罰の存在が、このゲームの恐怖を露わにしていく。

8月25日発売『化身の残夢 那々木悠志郎、最後の事件』(阿泉来堂)

怪異収集家であり孤高のホラー作家・那々木悠志郎は、因縁のある新興宗教・人宝教から怪現象の調査を依頼される。だが調査を進めるうちに、現れる怪異はすべて彼自身が過去に体験したものと一致していた。正体不明の存在が現れ、信者が意識を失い地下へ消えていく。教団の狙いは何なのか。報酬として提示されたのは、十五年前に亡くなった叔父・登志也との再会。やがて那々木は、叔父の魂を取り込んだ怪異が教団施設に潜んでいると確信する――。シリーズ、遂に完結。

8月25日発売『身から出た闇』(原浩)

一見すると、それぞれが別々の物語。しかし読み進めるうちに、すべての話に共通する不気味な気配が浮かび上がる。その影はやがて、あなた自身にも忍び寄る――。無関係ではいられない戦慄の連作短編集。

まとめ

ホラー小説は、自分の想像力でじわじわ怖さを感じられるのが魅力。ジャンルや文体も豊富なので、自分に合う一冊がきっと見つかる。2025年は話題作も多く、初めて読む人にもおすすめの年だ。

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