サイコホラー漫画は、静かに心を侵してくるような不気味さが魅力のジャンルだ。幽霊や怪物ではなく、人間の精神や心理の歪みが描かれることで、より現実的で深い恐怖を味わえる。本記事では、完結済みや無料試し読み可能な作品を含め、おすすめのサイコホラー漫画をランキング形式やテーマ別でご紹介。
サイコホラー漫画とは？ホラー漫画との違い
サイコホラー漫画とは、登場人物の精神状態や異常心理を中心に描かれたホラージャンルの一種。幽霊や怪物といった超自然的な存在を扱うことが多い一般的なホラー漫画とは異なり、人間の内面に潜む狂気やトラウマ、不安といった現実味のあるシチュエーションを軸としたジャンルとなっている。
編集部が選ぶ、おすすめサイコホラー漫画ランキングTOP10【2025年最新版】
ここからは編集部が選んだおすすめサイコホラー漫画をランキング形式でご紹介。尚ランキングは編集部が独断と偏見で付けたものなのでご了承いただきたい。
1位『惡の華/押見修造』
押見修造が描く本作は、思春期特有の閉塞感と衝動を、鮮烈かつ繊細に描き出す。主人公・春日がクラスメイトの体操着を盗んだことから始まる狂気の連鎖は、やがて自己破壊的な逃避と変貌を生む。圧倒的な筆致で描かれる心理崩壊が、読者の精神に食い込む。
2位『ミスミソウ/押切蓮介』
いじめによって家族を殺された少女が、自らの手で復讐を遂げていく姿を描いた作品。吹雪の中、静かに進行する残虐な復讐劇は、暴力描写だけでなく精神的な痛みも強烈に訴える。読後の虚無感と胸のざらつきが忘れがたい。
3位『ハッピーシュガーライフ/鍵空とみやき』
一見甘く見える少女の恋愛劇は、実のところサイコパス的な支配と依存によって成立している。主人公・さとうが愛する“しお”を守るために行う数々の行動は、倫理と常識を踏みにじる衝撃の連続。
4位『ミュージアム/巴亮介』
巴亮介による本作は、サイコパス的犯人の犯罪に翻弄される刑事を描くサスペンスホラー。雨の日だけ起こる連続殺人事件と、それに込められた異常な動機が、読者を緊迫した心理戦に引き込んでいく。
5位『ライチ☆光クラブ/古屋兎丸』
古屋兎丸による耽美的かつグロテスクな世界観が光る作品。少年たちが築く秘密結社の歪んだ理想と、そこに潜む暴力と欲望。美しい作画と詩的な台詞まわしが、むしろ恐怖を増幅させる。
6位『シマウマ/小幡文生』
復讐代行業「シマウマ」の世界に巻き込まれた青年が、次第に人を裁く側へと変貌していく。暴力と裏切りの連鎖、弱者が弱者を喰う構造を描くことで、倫理観が崩れていく過程がリアルに迫る。
7位『パラフィリア～人間椅子奇譚～/佐藤まさき』
江戸川乱歩原作の短編を元にした、倒錯的愛情と身体拘束をテーマにした作品。美しくも不穏な作画と、心理的支配を巡る異常な関係性が印象的。純粋な恋が狂気に転じる過程に背筋が凍る。
8位『寄生獣/岩明均』
岩明均の名作。寄生生物によって変異した主人公と、彼に宿る知性体ミギーとの共生は、サバイバルと哲学の境界を描く。人間の生存本能と理性の葛藤がリアルに迫り、心理的な緊張感が終始続く。
9位『秘密 THE TOP SECRET/清水玲子』
死者の脳をスキャンし記憶を読み取るという設定の下、犯罪捜査に挑む心理ミステリー。死者の視点を通して事件を追うことで、捜査官自身の精神が蝕まれていく様を静かに描写する。
10位『イノサンRouge/坂本眞一』
18世紀フランスを舞台に、死刑執行人としての宿命を背負う主人公が、革命と処刑のはざまで苦悩する。人間の命に対する価値観が極限まで問い詰められる。画面構成と演出も美しく、精神的な衝撃が強い。
完結済みのサイコホラー漫画【一気読みしたい人向け】
最後まで一気に読み切れる完結作品は、物語の完成度や読後の余韻をじっくり味わいたい人におすすめ。ここでは、最後まで読み応えのある完結済みの名作を紹介。
『イキガミ/間瀬元朗』
法律によって無作為に選ばれた者に“死の予告”が届く世界。残り24時間の生を与えられた人々がどう生き、何を思うのかが描かれる。人間の本性と命の意味を問いかける社会派サイコホラー。
『殺戮モルフ/小池ノクト』
東京を舞台にした連続殺人事件と、それにまつわる刑事と被害者の心理が交錯する。殺人者の思考や動機を通して、人間の暗部を深く描写。完結済みでありながらもインパクトのある終幕が待ち受ける。
『自殺島/森恒二』
自殺未遂者が集められた島で、自給自足の生活を通じて生と死に向き合う。明確な“敵”が存在せず、登場人物自身の心が最大の脅威となる。全17巻で完結しており、綿密な心理描写が魅力。
無料で読めるサイコホラー漫画【試し読みOK】
電子書籍プラットフォームでは、一部無料で試し読みできるサイコホラー作品が多く存在する。『グリマス』『インゴシマ』『不安の種』などは、ヤンマガWebやピッコマ、LINEマンガなどで冒頭数話を無料公開していることも。まずは気軽に読み始め、作品の雰囲気や心理描写に触れてみることもおすすめ。
『グリマス/活又ひろき』（一部無料）
友人に勧められ、とあるマンションに越してきた城谷一家。だが間もなく、「オーナーの前では笑顔を絶やしてはならない」という異様なルールの存在を知る。その掟を破ると、恐ろしい事態が待っていた。
『インゴシマ/田中克樹』（一部無料）
事故により漂着した島で繰り広げられるサバイバルと支配の物語。文明から切り離された閉鎖空間で、暴力と服従の構造が明かされていく。ピッコマにて第3巻まで無料公開中。
『不安の種/中山昌亮』（一部無料）
一話完結型の短編オムニバスで、どこか現実とずれた日常の中に忍び込む不安や違和感を描く。短時間で読める恐怖として人気が高く、公式配信でも試し読みがしやすい。
『外れたみんなの頭のネジ/洋介犬』（一部無料）
とある町の住民が次々と非常識な行動を取り始めるという異常な日常が、主人公の視点から描かれる。社会秩序の崩壊をテーマにした異色のサイコホラー。無料公開話数も多い。
グロ描写が強烈な作品【閲覧注意】
内臓、損壊、流血など過激な描写が視覚に訴えかけてくる作品は、読み手に強烈なインパクトを残す。ここでは、グロテスクな表現を含みながらも、物語としての完成度が高い注目作を紹介する。過激な表現が苦手な人はご注意を。
『ハカイジュウ/本田真吾』
突如東京に現れた怪物が、街と人間を破壊していく様を徹底的なグロ描写で描く。内臓、四肢、眼球といった部位を容赦なく破壊する描写が連続し、視覚的インパクトは極めて強烈。
『エデンの檻/山田恵庸』
無人島で目覚めた高校生たちが、動物に襲われながら生き延びる物語。生存のために仕方なく行われる暴力や人体破壊は、倫理観を揺さぶる描写として機能する。ハードな演出に耐性が必要。
読者層別おすすめ作品【青年・少女向けなど】
読む人の背景や関心によって、響く作品は異なる。サイコホラーは表現の幅が広く、重厚で社会性のあるものから、繊細で感情に訴えるものまで揃っている。ここでは、青年・少女向けそれぞれにおすすめのサイコホラー作品を紹介する。
青年向け『シグナル100/宮月新』
催眠術によって、ある行動をとると自殺するよう暗示された高校生たち。誰が仕掛け、誰が生き残るのか。極限の緊張感と心理戦が、青年誌ならではの筆致で描かれる。
青年向け：『アポカリプスの砦/イナベカズ』
少年刑務所で突如発生した感染症によるパニック。閉鎖空間と監視社会のなかで、サイコスリラーとしての魅力を発揮。暴力と希望のあいだで揺れる心理描写が秀逸。
少女・女性向け：『ぼくらのへんたい/ふみふみこ』
3人の少年が女装をきっかけに互いの秘密と歪んだ過去を知っていく。繊細な心の傷と、社会の目に対する恐怖が入り混じる異色の作品。耽美な画風と構成が女性読者に支持されている。
少女・女性向け：『さよならミニスカート/牧野あおい』
アイドルとしての自分を捨てた少女が、暴力やストーカー被害に怯えながらも自分を取り戻していく物語。外見ではわからない心の恐怖を描き、サイコ的な緊張が持続する。
まとめ｜心に残る恐怖を味わいたいならサイコホラー漫画を
サイコホラー漫画の本質は、読者の精神を揺さぶる構成と、登場人物の歪んだ感情を通して生まれる「心の恐怖」にある。今回紹介した作品は、いずれも心理的な緊張感や倫理の崩壊を巧みに描き、読後にも強い印象を残すものばかり。気になるタイトルがあれば、まずは一歩踏み出し、その狂気の世界に触れてみてほしい。
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