
映画『サブスタンス』は3月3日、第97回アカデミー賞のメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した。本作は世界各国の映画祭で高く評価されており、第77回カンヌ国際映画祭では9分間にわたるスタンディングオベーションを受け、脚本賞を獲得。
さらに、トロント国際映画祭ではミッドナイト・マッドネス部門のオープニング作品として上映され、観客から圧倒的な支持を集め、観客賞を受賞した。BBCのニコラス・バーバー氏が「脳裏に焼き付く」と評した本作は、世界中のバイヤーが獲得を競い合った話題作となっている。

主演を務めたのはデミ・ムーア。本作では「美しさ」と「若さ」への執着を圧倒的な演技で表現し、45年以上にわたるキャリアの中でも特に重要な作品となった。かつて「ポップコーン女優」と呼ばれ、評価に悩んでいた彼女だが、本作を機にその印象を覆し、再び注目を集めることとなった。

アメリカでは「デミッセンス」(デミ・ムーアのルネッサンス)という言葉がメディアで取り上げられるほどの反響を呼び、ゴールデングローブ賞主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞。さらに、アカデミー賞主演女優賞にも初めてノミネートされた。

監督・脚本を務めたのはコラリー・ファルジャ。彼女は本作について「映画業界で女性として長年経験してきたことを題材にした」と語っている。

年齢や体重、身体のラインが「理想」とされる基準から外れると、社会は「もう女として終わりだ」と烙印を押す。ファルジャ監督は「2024年になってまで、こんなにくだらないことが続いていること自体が、ちゃんちゃらおかしい」と強く批判している。

今回の受賞は、デミ・ムーアの鬼気迫る演技を支えたスタッフの貢献が高く評価された結果である。美への執着と成功への渇望が交錯し、やがて狂気がにじみ出すストーリーは、観る者の心に深い衝撃を残す。特に、最後のシーンは強烈な印象を与えるものであり、大スクリーンでこそ体感すべき作品となっている。

そんな本作だが、日本では5月16日より全国公開が決定している。デジタル鑑賞券は2月21日からムビチケにて先行販売が開始される見込みだ。価格は税込1,600円。