A24が製作する映画『テレビの中に入りたい』（原題：I Saw the TV Glow）の日本公開日が9月26日に決定し、最新予告編とポスタービジュアル2種が本日公開された。本作は第74回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に正式出品され、海外メディアから「リンチ的」「型破りな作品」などと評されている。
舞台は1990年代のアメリカ郊外。主人公オーウェンは、日々を淡々と過ごす中で、毎週土曜夜に放送されるテレビ番組「ピンク・オペーク」だけが心の拠り所となっていた。同番組を通じて出会ったマディとともに、現実とテレビの境界が次第に曖昧になっていく。やがてマディは姿を消し、残されたオーウェンは、自らの存在を問う孤独な時間を過ごすことに。
予告編では、アーティストyeuleによる「Anthems For A Seventeen Year-Old Girl」が使用され、幻想的な番組映像や2人のやりとりを通じて、現実との断絶や閉塞感が映し出される。「ここに居たら死ぬ」「そして彼女は消えた」といった台詞、燃えるブラウン管テレビの描写などが重なり、作品全体の不穏な空気を強調する構成となっている。
ポスタービジュアルは2種公開されており、本国版は暗闇の中でテレビに引き寄せられるように立つオーウェンの姿を描写。日本オリジナル版では、テレビを凝視するオーウェンとマディの背後に「ピンク・オペーク」のキャラクターたちが配され、画面の中に入り込むような構図が採用された。日本版のイラストは雪下まゆ氏、デザインは大島依提亜氏が手がけている。
大島氏は、本国ビジュアルの意図を踏まえつつ、雪下氏の作品性が本作と親和性を持つとし、「一対のポスターとして提示したかった」と述べた。雪下氏は、自身の10代の経験と重ねた上で、「本作は、若い世代だけでなく、同様の思春期を過ごした大人にも訴える力がある」と語っている。
『テレビの中に入りたい』は、2025年9月26日より東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次公開される予定。
