
人形と聞くと、子ども時代の遊び道具や部屋に飾られた可愛らしい存在を思い浮かべる人も多いだろう。だが、ホラー映画の世界では、人形は一転して恐怖のシンボルとなる。チャッキーやアナベルに代表されるように、「動かないはずのものが動く」「しゃべるはずのないものが話す」──そんな違和感が、ゾクッとするような怖さを生み出してきた。本記事では、そんな“怖すぎる人形ホラー映画”をテーマに、定番から注目の新作まで10本をご紹介。2025年公開予定の邦画『ドールハウス』にも触れながら、人形ホラーの魅力を深掘りしていこう。
人形ホラー映画とは?なぜ動かないはずの人形がこんなに怖いのか
人形ホラー映画は、人間に似た人形の不気味さを軸に展開するジャンル。表情のない人形がじっとこちらを見ているだけで、どこか落ち着かない気分になる。ふと目が合った気がしたり、いつの間にか場所が変わっていたりと、ちょっとした違和感が怖さにつながっていく。

ホラー作品でよく取り上げられる「不気味の谷現象」や、実際に人形が怖いと感じる“人形恐怖症(ペディオフォビア)”も関係していて、だからこそリアルに怖く感じられるのがこのジャンルの魅力。
長澤まさみ主演の人形ホラー新作『ドールハウス』、2025年6月13日公開
長澤まさみ主演の新作ホラー映画『ドールハウス』が2025年6月13日に公開される。監督を務めるのは『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』などで知られる矢口史靖。これまで明るく軽やかな作品を多く手がけてきた矢口監督が、初めてホラーに挑むという点でも注目されている。

物語は、古びた人形館を訪れた主人公が、“アヤちゃん”という名の日本人形と出会うことから始まる。不思議な音、移動している人形、消える物品……。次第に現実と幻覚の境界が崩れていく。Jホラーならではの湿度ある演出と、現代的なテーマが組み合わさった一作に仕上がっている。
人形ホラー映画おすすめ10選【2025年最新】
『チャイルド・プレイ』シリーズ(1988年〜)

笑って追いかけてくる最凶人形
殺人鬼チャールズ・リー・レイが逃亡中に死亡し、ブードゥーの儀式によって魂を人形に移したことからすべてが始まる。無邪気な顔をしたチャッキーが、罵声を浴びせながらナイフを手に人間を襲う姿は強烈な印象を残した。
『チャイルド・プレイ(1988年)』の詳細情報
恐怖レベル | ★★★☆☆ |
キャスト | キャサリン・ヒックス、クリス・サランドン、アレックス・ヴィンセント、ブラッド・ドゥーリフ |
監督 | トム・ホランド |
収録時間 | 87分 |
製作国 | アメリカ |
ジャンル | スラッシャーホラー |
『アナベル』シリーズ(2014年〜)

実話ベースの本格オカルトホラー
『死霊館』ユニバースから派生したスピンオフ作品。実在する呪われた人形をモデルにしており、一見無害そうなアナベルが引き起こす超常現象と悪意が物語を支配する。西洋オカルトの王道を踏襲しつつ、現代的な映像と演出で緊張感を高めていく。
『アナベル 死霊館の人形(2014年)』の詳細情報
恐怖レベル | ★★★★☆ |
キャスト | アナベル・ウォーリス、ウォード・ホートン、アルフレ・ウッダード |
監督 | ジョン・R・レオネッティ |
収録時間 | 99分 |
製作国 | アメリカ |
ジャンル | オカルトホラー |
『M3GAN/ミーガン』(2022年)

AI人形が暴走する近未来ホラー
感情認識機能を備えたAI人形ミーガンは、孤独な少女の保護者として登場するが、次第に行動がエスカレートし暴走を始める。テクノロジーと倫理のバランスが崩れることで生まれる恐怖は、現代社会の不安を鋭く突いてくる。
『M3GAN/ミーガン(2022年)』の詳細情報
恐怖レベル | ★★★☆☆ |
キャスト | アリソン・ウィリアムズ、ヴァイオレット・マクグロウ、ロニー・チェン |
監督 | ジェラルド・ジョンストン |
収録時間 | 102分 |
製作国 | アメリカ |
ジャンル | SFホラー |
『ザ・ボーイ』シリーズ(2016年〜)

静かに忍び寄る心理型ドールスリラー
イギリスの田舎にある屋敷で、老夫婦が「息子」として大切にしているのは、実は陶器製の人形。新たに雇われた女性がその生活に困惑しながら過ごす中で、次々と不可解な現象が起こり始める。じわじわと不安を煽る構成が印象的。
『ザ・ボーイ 人形少年の館(2016年)』の詳細情報
恐怖レベル | ★★★☆☆ |
キャスト | ローレン・コーハン、ルパート・エヴァンス、ジェームズ・ラッセル |
監督 | ウィリアム・ブレント・ベル |
収録時間 | 97分 |
製作国 | アメリカ、中国 |
ジャンル | サイコホラー |
『パペット・マスター』シリーズ(1989年〜)

個性豊かな殺人人形が勢ぞろい
古代の魔術とナチスの技術で命を得た人形たちが、人間を襲うという異色のシリーズ。個々に異なる能力を持った人形たちが多彩な攻撃を繰り出し、アクション性とスプラッターが融合したユニークな作風となっている。
『パペット・マスター(1989年)』の詳細情報
恐怖レベル | ★★★☆☆ |
キャスト | ポール・ル・マット、アイリーン・ミラクル、ジミー・F・スカッグス |
監督 | デヴィッド・シュモーラー |
収録時間 | 90分 |
製作国 | アメリカ |
ジャンル | コメディホラー |
『ベニー・ラブズ・ユー』(2019年)

かわいいのに殺意全開な異色ホラー
捨てられたぬいぐるみ“ベニー”が突然命を持ち、持ち主への執着心から暴走する。愛らしい見た目と過激な行動のギャップが際立ち、ブラックコメディとホラーを融合させた新感覚の作品となっている。
『ベニー・ラブズ・ユー(2019年)』の詳細情報
恐怖レベル | ★★☆☆☆ |
キャスト | カール・ホルト、クレア・カートライト、ジョージ・コリー |
監督 | カール・ホルト |
収録時間 | 94分 |
製作国 | イギリス |
ジャンル | コメディホラー |
『デッド・サイレンス』(2007年)

沈黙が支配するクラシックホラー
妻を失った主人公が、故郷で伝説の腹話術師と人形の呪いに向き合う。音のない演出と冷たい映像美、不気味な人形の存在感が観る者を静かに追い詰めていく。監督は『ソウ』シリーズで知られるジェームズ・ワン。
『デッド・サイレンス(2007年)』の詳細情報
恐怖レベル | ★★★★☆ |
キャスト | ライアン・クワンテン、アンバー・ヴァレッタ、ドニー・ウォールバーグ |
監督 | ジェームズ・ワン |
収録時間 | 89分 |
製作国 | アメリカ |
ジャンル | 心霊ホラー |
『生き人形マリア』(2023年)

フィリピン発、呪術×人形ホラー
フィリピン発のホラー映画で、宗教と呪術が密接に絡み合ったストーリーが展開される。捨てられた人形“マリア”が復讐の媒体となり、土着的な恐怖とビジュアルが際立つ独特の雰囲気を持っている。
『生き人形マリア(2023年)』の詳細情報
恐怖レベル | ★★★☆☆ |
キャスト | イザ・カルザド、ザンジョー・マルード、ジョディ・サンタ・マリア、ダンテ・ポンセ |
監督 | ウェン・V・デラマス |
収録時間 | 103分 |
製作国 | フィリピン |
ジャンル | サイコホラー |
『ストップモーション』(2023年)

ストップモーションアニメを題材にしたホラー
母の死を受け入れられない女性が、彼女の遺したストップモーションアニメに取り憑かれていく。人形アニメの制作と自傷行為が重なり、やがて現実と幻想の境目が曖昧に。映像表現と身体感覚に訴える、現代的でアート性の高い一作。
『ストップモーション(2023年)』の詳細情報
恐怖レベル | ★★★☆☆ |
キャスト | アシュリン・フランチオージ、ステラ・ゴネット、トム・ヨーク、ケイリン・スプリンゴール、セリカ・ウィルソン・リード |
監督 | ロバート・モーガン |
収録時間 | 93分 |
製作国 | イギリス |
ジャンル | サイコホラー |
『イマジナリー』(2024年)

ぬいぐるみが暴き出す家族の違和感
子どもの頃に作った“空想の友達”が、実体を持って家族に近づいてくるという話。ぬいぐるみがただ可愛いだけじゃなく、どこか得体の知れない存在になっていくのがポイント。派手さはないが、じっとり怖い。
『イマジナリー(2024年)』の詳細情報
恐怖レベル | ★★☆☆☆ |
キャスト | ディワンダ・ワイズ、タイゲン・バーンズ、パイパー・ブラウン |
監督 | ジェフ・ワドロウ |
収録時間 | 104分 |
製作国 | アメリカ |
ジャンル | ファンタジーホラー |
もっと人形ホラーが気になる人へ
見た目はかわいくても、じっと動かずそこにいるだけで怖い――そんな人形ホラーならではの怖さには、どこか引き込まれる魅力がある。今回はその一部を紹介したが、他にも印象に残るホラー映画はまだまだたくさん。気になる人は、こちらの記事もチェックしてみてほしい。
