バイラル短編から世界的大ヒットへ ─ 1億4900万ドル超えのホラー映画『ライト/オフ』続編が出ない理由とは

2016年に公開されたホラー映画『ライト/オフ』(原題:Lights Out)は、全世界で1億4900万ドルの興行収入を記録し、当時のホラー映画界において異例の成功を収めた作品のひとつである。わずか2分42秒の短編からスタートしたこの企画は、YouTube上で話題となり、監督のデヴィッド・F・サンドバーグがハリウッドでのキャリアを確立するきっかけとなった。

本作は、暗闇に潜む超常的存在「ダイアナ」との恐怖を描いたサスペンスホラーで、サンドバーグ監督にとっては長編映画デビュー作となった。脚本を務めたのは『メッセージ』や『バード・ボックス』の脚本家エリック・ハイセラーで、プロデューサーには『ソウ』シリーズや『死霊館』シリーズで知られるジェームズ・ワンが名を連ねた。主演にはテリーサ・パーマー、マリア・ベロ、ガブリエル・ベイトマンらが起用され、限られた予算で緊迫感のある映像が作り上げられた。

原案となった短編『Lights Out』は2013年に公開され、監督自身の妻であるロッタ・ロステンが出演。セリフを一切用いず、照明や音響、演技だけで観客に恐怖を与えるその演出は話題を呼び、YouTube上で1800万回以上の再生を記録するなど、一種のネット現象となった。

それにもかかわらず、『ライト/オフ』の続編は未だに実現していない。ヒット作でありながらシリーズ化されなかった本作は、近年のホラー映画においても異例である。PG-13指定という観客層の広さ、ジャンプスケアを駆使した構成、そして“光と闇”というわかりやすい恐怖演出から見ても、続編制作の可能性は十分にあったはずだ。

近年、サンドバーグ監督はゲーム原作の新作ホラー映画『アンティル・ドーン』で再びホラージャンルに回帰している。『アナベル 死霊人形の誕生』でも成功を収めた彼の手腕を考えれば、『ライト/オフ』の続編が期待されるのは当然の流れだ。

映画としても批評家・観客双方から高評価を獲得し、辛口映画レビューサイト「ロッテントマト」では75%のスコアを記録。「Certified Fresh(新鮮保証)」認定も受けたこの作品が、なぜ単発で終わってしまったのか。その理由はいまだ明かされていないが、ホラーファンの間では続編を望む声が根強く存在している。

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