アリ・アスター監督最新作『Eddington』、カンヌ国際映画祭で初上映へ。予告編とポスタービジュアルも解禁

アリ・アスター監督の新作映画『Eddington』が、2025年5月に開催される第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されることが発表された。本作はアスターにとって初のカンヌ出品作で、長編映画としては『ボーはおそれている』以来の新作となる。2025年7月18日の米公開を予定しており、早くも注目を集めるている。

アスター監督が長年温めてきたという『Eddington』は、彼の過去作『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』『ボーはおそれている』に続く、A24との4度目のタッグとなる。​ジャンルは現代の西部劇でありながら、ブラックコメディやスリラーの要素も含まれている。​

物語の舞台は、2020年5月のパンデミック初期のアメリカ・ニューメキシコ州の架空の町エディントン。​保安官ジョー・クロスと、再選を目指す市長テッド・ガルシアとの対立が、町全体を巻き込む混乱へと発展していく様子が描かれる。​ジョーの妻ルイーズも物語の鍵を握る人物として登場する。​

主演は『ジョーカー』で知られるホアキン・フェニックスが務め、葛藤を抱える保安官ジョーを演じる。対する市長役には『マンダロリアン』のペドロ・パスカルがキャスティングされ、物語の緊張感を支えている。さらに、ジョーの妻ルイーズ役としてエマ・ストーンが出演し、町の過去と現在をつなぐ鍵を握る人物として存在感を放っている。ほかにも、ルーク・グライムスやディアナ・アグロンら実力派俳優が脇を固めており、キャスト陣の充実ぶりも話題を呼んでいる。

撮影は2024年3月から5月にかけて、ニューメキシコ州のアルバカーキやトゥルース・オア・コンシクエンシズで行われた。​撮影監督には、アカデミー賞ノミネート歴を持つダリウス・コンジが起用され、アスター監督作品としては初めてパヴェウ・ポゴジェルスキ以外の撮影監督との協業となる。​音楽は、過去に『ミッドサマー』や『ボーはおそれている』でもタッグを組んだボビー・クルリックが担当する。​

YouTubeにて解禁された予告編では、2020年6月2日付のSNSやニュース映像がモンタージュされ、パンデミック初期の混乱や陰謀論、政府の無策といったテーマが浮き彫りにされている。​また、ポスタービジュアルには、デヴィッド・ウォイナロヴィッチのAIDS時代のアート作品「Untitled (Buffalos)」が引用され、キャッチコピーとして「Hindsight is 2020(後知恵は2020年)」が掲げられている。

A24との4作目のコラボレーション作品となる『Eddington』は、同スタジオの持つ独立映画の精神と、アスターの挑戦的な作家性が再び結びついたかたちだ。公開に先立ち、カンヌでどのような評価を得るかが注目されている。アリ・アスターが描く“現代の西部”が、世界の映画界に新たな刺激を与えることは間違いないであろう。日本での公開も待ち遠しい。

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