
韓国実写映画初登場No.1を記録したスリラー映画『侵蝕』が9月5日の全国公開を控える中、新たな本編映像と著名人コメントが公開された。
解禁された映像では、ミン(クォン・ユリ)がヘヨン(イ・ソル)の部屋に忍び込む場面が描かれる。静寂に包まれた室内で、ミンは何かを探すためにゴミ箱を漁るが、その背後にはいつの間にかヘヨンが立っていた。気づかれたミンは動揺しつつも強気の言葉を投げかける。後ろ手でドアを閉めるヘヨンによって逃げ道が断たれ、緊張が極限に達する中、ミンは「本物のパク・ヘヨンは死んでる」と告げる。ミンが危険を冒して追い求める真実とは何なのか。闇に包まれたやり取りの一部始終が、背筋の凍る緊張感を生んでいる。
また、公開初日となる9月5日からは、入場者特典として数量限定のアートビジュアルポストカードが配布される。イラストを手がけたのは、桐野夏生『ダークネス』の装画などで知られる四宮愛。本作のオルタナティブポスターも担当した四宮が、本編冒頭の川辺のシーンを着想源に制作した。赤い服を着た少女が川淵に立つ姿を描いたイラストは、不穏な空気を漂わせる特別なデザインとなっている。
さらに、映画監督の内藤瑛亮や近藤亮太、映画ソムリエの東紗友美、ライターのSYOら総勢9名からコメントが寄せられた。「フィクションでしか許されない後ろ暗い感動」「韓国スリラーの真骨頂」「後味がヤバすぎる」といった声のほか、「とんでもない“怪物”を創り出してしまった」と本作の衝撃性を強調する評価も見られる。
苦悩の先に待ち受ける絶望を描いた映画『侵蝕』は9月5日より新宿ピカデリーほか全国で公開される。
著明人コメント全文(公式より引用)
身震いしてしまうような112分。
怖さや息苦しさを感じたのは序章に過ぎず、更なる展開が待ち受ける。
この映画、後味がヤバすぎる!!!
―――韓国ドラマ好きのだらだら子(韓国作品ライター)
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物悲しくも不穏な家族のドラマと意外性に満ちたスリラー。
“おそろしい子供”モノとして始まった物語は幾度となく印象と様相を変えていく。何かがおかしい。でも何が?
違和感の正体が明かされたとき、あまりにシンプルでピュアな動機に虚をつかれた。
―――近藤亮太(映画監督)
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過去の記憶がない者と過去を偽っている者、大事な日常を「侵蝕」しているサイコパスは果たして誰なのか。
息の詰まるような展開の末、その全容に後から気づいた時、観客に残るのは戦慄そのものである。
本作は民主化以降、韓国映画が追求してきた“暴力”の現在地を示しているとも言えるだろう。
―――崔盛旭(映画研究者)
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きっと観賞中、何度も何度もなぜ?と思い、疑うだろう。
彼女がそうなった理由を僕らは求め、探し続けてしまう。
歩み寄り、理解したいから――わからないのは怖いから。
でも彼女は彼女でしかない。最初からずっと変わらない。
泡沫に帰すとも独り信じて手を伸ばす母の愛、その悲哀。
―――SYO(物書き)
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容赦が無いでお馴染みの韓国映画がまたやった…とんでもない”怪物”を創り出してしまった…
7歳少女の愛くるしさを細やかに捉えつつも、その許容を遥かに超える”邪悪さ”までも存分に描き切る非道さ。害悪を巻き散らす少女はやがて大人にまで成長と、どこまでも観客を許してくれそうに無い。こうなったら地獄の果てまで見届けよう…その先にある安寧を少しだけ信じて…だけどそれはきっと…嗚呼…
―――末廣末蔵(ジャンル映画大好きツイッタラー)
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倫理観がすっぽり抜け落ち、残忍な衝動を抱えた少女に恐れおののく一方で、彼女の苦悩が伝わり、悲哀が心に響き、最終的な決断には解放感を覚えてしまった。
フィクションでしか許されない後ろ暗い感動だ。
―――内藤瑛亮(映画監督)
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よくあるサイコキッズ枠と思いきや、もっと複雑でやり切れない話だった。周りを傷付けてしまう少女。娘に追い詰められる母親。限界を迎えてからの、更にその後に待つ地獄絵図。母と娘の行く末が、鉛のように重い感情を残してくれました。画面にはあまり出てこない父親たちがロクデナシなのは想像に難くない。
―――人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
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疑心暗鬼に、どんどん蝕まれていく。
そう、侵蝕されていたのは私の心だったのだ。
痛みをごまかさず、恐怖に真正面から対峙する。
子どもの純真、母親の母性、そして母と子の絆さえも否定する。
ここにあるのは、ただ絶望だけ。
これこそ韓国スリラーの真骨頂。
どこまでも容赦はない
―――東紗友美(映画ソムリエ)
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ごく当たり前の道徳観が身につかず、動物的本能のままに行動する子どもが、「もし自分の子どもだったら」「自分の子どもと同じクラスだったら」「隣人だったら」「大人になったら」と次々想像させられ、足元が崩れていくような恐怖に襲われる。〈侵蝕〉されるのは、紛れもなく私たち観客だ。
―――mikoザウルス(韓国映画沼の住人)
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「地獄のような映画だ……」
のっけからそう思わされ、その絶望がどんどん色濃くなっていく。
ここで描かれる無垢な邪悪さと、それを駆り立ててしまう人間の弱さに、既視感を覚えるのがなんとも恐ろしい。
観終わっても続く苦々しい後味が、この映画の醍醐味だ。
―――レイナス(「ホラー通信」ライター)
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